不動産を高く売るには不動産会社選びがポイントとなります。
特に投資用不動産は特殊な市場であるため、マイホームの売却とは異なる視点で適切な不動産会社を選ぶことがコツです。
では、投資用不動産を売却するときはどのような視点で不動産会社を選べば良いのでしょうか。
こんな悩みをスッキリ解消!
- 日本の投資用不動産市場について知りたい
- 投資不動産の売却に強い不動産会社を探す方法を知りたい
- 不動産会社を選ぶ際のポイントについて知りたい
そこで今回の記事では「投資用不動産売却の不動産会社の選び方」について解説します。ぜひ最後までご覧ください。
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【執筆・監修】不動産鑑定士・宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター
株式会社グロープロフィット 代表取締役
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大手ディベロッパーにて主に開発用地の仕入れ業務を長年経験してきたことから、土地活用や不動産投資、賃貸の分野に精通している。大阪大学卒業。不動産鑑定事務所および宅地建物取引業者である「株式会社グロープロフィット」を2015年に設立。
資格不動産鑑定士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・公認不動産コンサルティングマスター(相続対策専門士)・中小企業診断士
1.投資用不動産の購入検討者の特徴
最初に投資用不動産市場で知るべき基本情報についてお伝えします。
投資家は全国にいる
投資用マンションの市場では、投資家は全国にいるという点がポイントで、例えば、北海道の投資家が大阪の物件を購入したりします。
投資用マンションは、近所の人が購入するとは限らないため、不動産会社選びでは地元の不動産会社を選ぶ必然性は低いです。
また、必ずしも地方の人が東京の物件を購入するといった構図だけにはなっておらず、東京の人が地方の物件を買うこともよくあります。
地方の物件は利回りが高いため、東京の投資家にも地方の物件の購入ニーズはあるのです。
投資用不動産は全国の投資家が遠方の物件を売買しており、マーケットはマイホーム市場よりも広くなっています。
地方にある投資用物件は「楽待(らくまち)」経由で売買されることも増えてきました。
楽待とは、株式会社ファーストロジックという会社が運営している収益物件専門の不動産ポータルサイトのこと
地方の物件を売買でオススメの「楽待(らくまち)」については、以下の記事で詳しく解説しています。
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楽待を活用して収益物件を買い替える6つのテクニックと口コミ・評判を紹介
収益物件の買い替えを検討している人であれば、一度は「楽待(らくまち)」のサイトを見たことがある人も多いと思います。 楽待 …
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海外の投資家は購入価格が高い
投資用不動産は、海外の投資家の方が購入価格は高いといった特徴があります。
日本の不動産は日本人投資家だけでなく、近年は海外の投資家も購入するようになってきました。
ひと口に海外といっても、特に強いのが中国や台湾といったアジア系の投資家です。
中国や台湾の不動産はかつての日本のバブル期のような状況にあり、物件価格が高く、利回りが非常に低くなっています。
彼らからすると日本の不動産は利回りが高く、割安に映ることから、日本の投資家よりも高い金額を提示してくることが多いです。
よって、不動産会社は国内の投資家だけでなく、海外の投資家への売却実績がある不動産会社を選ぶことがコツです。
相続税の節税目的で買う人もいる
投資用不動産は、相続税の節税目的で買う人もいるという点が特徴です。
収益物件は、相続税評価額が時価よりもかなり低いため、相続税納税義務者は現金を収益物件に変えるだけでも相続税を大幅に節税できます。
相続税評価額とは、相続税や贈与税を計算するときの基準となる課税価格のこと
相続税対策で収益物件を購入する資産家は、物件を普通の投資家とは別の見方をしています。
投資家は利回り等の収益性を重視しますが、相続税対策の資産家は資産の圧縮率を重視して購入します。
資産の圧縮率とは、実際の資産価値よりも「相続税評価額」をどれだけ減額できるのかを示した数値のこと
収益物件は、都内の土地単価が高い物件ほど相続税圧縮効果が高いです。
土地価格の相続税評価額は、相続税路線価に基づいて計算が行われます。
路線価とは、道路(路線)に振られている相続税評価額を求めるための土地単価のこと。路線価=相続税路線価を指している。
相続税路線価の目安は、地価公示価格(国が行っている毎年1月1日時点の土地の評価額のこと)の80%程度です。
地価公示価格は、表向きは時価相当額ということになっていますが、実際の時価は都市部の土地は地価公示の1.5倍~2.0倍程度、地方の土地は地価公示の1.0倍~1.1倍程度となっています。
地価公示価格と時価とのギャップが大きいということは、相続税路線価と時価とのギャップも大きいということです。
都内の土地単価の高い物件の方が土地の相続税評価額と時価とのギャップが大きくなることから、結果的に相続税の圧縮効果も高くなります。
そのため、相続税対策をする人は利回りが低くても都内の土地単価の高い物件を欲しがります。
高額な物件は、借入金も多くなりますが、借入金も多いほど資産を圧縮できるため、相続税対策をする人にとっては借入金が増えることもメリットがあるのです。
よって、相続税対策の資産家は、価格が高い物件を好んで購入する傾向があり、資産家に不動産を高く売却することができます。
また、相続税対策を目的としている人は、区分の投資用マンションであっても購入することがよくあります。
区分の投資用マンションを複数戸購入すると、相続人で資産を分けやすくなるというメリットがあるためです。
区分の投資用マンションは、相続税の節税効果も高く、また相続人間で財産を分割しやすいことから、相続税対策の資産家に人気の商品となっています。
相続税対策の資産家は、1棟モノの物件を買うとは限らないため、投資用マンションの売主も買主として相続税対策の資産家を意識する価値があります。
これまで投資用不動産市場の基本情報について見てきましたが、次に不動産会社を探す方法について見ていきましょう。
2.投資用不動産の売却が得意な不動産会社を探す方法
投資用売却に強い不動産会社を探す方法としては、不動産一括査定サイトの利用がオススメです。
不動産一括査定サイトとは、無料で複数の不動産会社に査定を依頼できるサービスのこと
不動産一括査定サイトの特徴としては、物件種別に投資用不動産を選択すると、投資用不動産の売却が得意な不動産会社が自動で選ばれて査定してくれるという点です。
例えば、物件種別で「アパート」を選択すれば、アパートの売却が得意な不動産会社が査定してくれるようになっています。
不動産一括査定サイトを使えば、アパートを売りたいのに、実はアパートの売却が苦手だったという不動産会社を選んでしまうという失敗が防ぐことができます。
最適な不動産会社を簡単に見つけることができますので、投資用不動産を売却するのであれば、ぜひ不動産一括査定サイトを利用してみてください。
次に不動産会社を選ぶ際のポイントについて見ていきましょう。
3.投資用不動産の売却に強い不動産会社を選ぶ5つのポイント
投資不動産の売却に強い不動産会社を選ぶ5つのポイントは以下の通りです。
不動産会社を選ぶ5つのポイント
- 投資用不動産を専門に扱っている会社を選ぶ
- 地元の不動産会社を選ぶ必要性は低い
- 買取転売の実績のある会社を選ぶ
- 査定価格の説明が明確な会社を選ぶ
- 高く売るためのアドバイスをしてくれる会社を選ぶ
①投資用不動産を専門に扱っている会社を選ぶ
投資用不動産を売却するなら、投資用不動産を専門に扱っている会社を選ぶことが最も重要なポイントです。
投資用不動産を専門に扱っている不動産会社には、例えば以下のような会社があります。
企業名 | 強み | 概要 |
---|---|---|
株式会社ウィルプライズ | 売買仲介 | 投資用区分ワンルームマンションの仲介が強みです。全国、47都道府県での取引に対応しており、6000件以上の取引実績を誇っています。 |
株式会社ランドネット | 売買仲介 | 投資不動産の仲介を中心に買取や賃貸管理、リースバックやリフォームなどにも幅広く対応可能。 |
スター・マイカ株式会社 | 買取(転売) | 投資用マンション(ファミリータイプや広めのマンションに特化)を専門に扱っています。投資用マンションの買取転売のパイオニアでもあり、業界内で評判の高い会社です。 |
プロパティエージェント株式会社 | 販売(開発) | 自ら投資用の新築マンションを開発して販売しています。区分の新築マンションを購入するならオススメです。 |
買主側の立場からすると、投資物件を扱っていない不動産会社で物件を探そうとは思いません。
扱っている物件数が少ない不動産会社では、良い物件があるとは思えないからです。
投資家は投資物件を多く扱っている不動産会社から物件を探すことが通常ですので、投資物件専門の不動産会社には常に多くの見込客が存在します。
良い物件では複数の買主が奪い合うように購入するという仕組みが出来上がっていますので、売却を依頼するなら投資用不動産を専門に扱っている会社の方が望ましいです。
また、投資用不動産を専門に扱っている会社は、海外の投資家や相続税対策の資産家も注目しています。
よって、投資用不動産専門の不動産会社に売却を依頼すると、海外の投資家や相続税対策の資産家へ売却できる可能性も高まるため、必然的に高く売却できるようになるのです。
②地元の不動産会社を選ぶ必要性は低い
投資用不動産の売却では、地元の不動産会社を選ぶ必要性は低いといえます。
理由としては、投資用不動産の市場は全国の投資家が全国の物件を購入するという市場が成り立っているからです。
マイホームの売却では、確かに地元の不動産会社に売却を依頼した方が高く売れるということがよくあります。
マイホームの市場は、購入者が住環境を変えたくないという理由から、「地元の人が地元の物件を買う」という市場が成り立っているからです。
マイホームの売買市場では、地元の人が地元の不動産会社に対して、「あのマンションが売りに出たら紹介してください」と依頼しているようなケースが確かにあります。
そのため、地元の不動産会社は見込み客を抱え込んでいることがあり、マイホームは地元の不動産会社に依頼した方が早く高く売れることがあるのです。
一方で、投資用不動産市場では、名古屋の投資家が東京の不動産会社を通じて北海道の物件を購入するようなこともあります。
収益物件は、遠方の投資家でも購入ニーズがあるため、あえて地元の不動産会社を選ぶ必要はないのです。
情報の集約性という意味では、多くの投資家が東京の不動産会社に注目しており、地方の物件でも東京の不動産会社に売却を依頼した方が高く売却できる傾向はあります。
東京の不動産会社は、全国の投資家だけでなく、海外の投資家や全国の相続税対策が必要な資産家が物件を購入しているケースが多いです。
よって、「東京の投資用不動産専門の会社」に売却を依頼するという選び方も適切な選択の一つといえます。
③買取転売の実績のある会社を選ぶ
投資用不動産では、買取転売の実績のある会社を選ぶこともポイントとなります。
買取転売とは、不動産会社が物件をいったん買い取って転売するビジネスのこと
買取転売を行っている不動産会社は、自ら売主になっている経験を何度もしていますので、どのような物件なら高く売れるかということを熟知しています。
不動産会社にとっては、仲介よりも買取転売の方がリスクの高いビジネスです。
仲介は売れ残りの心配はありませんが、買取転売は売れ残って赤字になるリスクがあるため、仲介よりも買取転売の方が難易度は高くなります。
買取転売では不動産を高く売らないと利益が出ないことから、買取転売を行っている不動産会社は必然的に高く売る販売スキルが備わっています。
仲介だけしか行っていない不動産会社よりも、買取転売も行っている不動産会社の方が、高く売れる確率は高いです。
よって、買取転売の実績のある不動産会社なら、売却を安心して任せることができます。
④査定価格の説明が明確な会社を選ぶ
不動産会社を選ぶなら、査定価格の説明が明確な会社を選ぶことがポイントです。
不動産一括査定サイトを使うと、各社がバラバラの査定価格を提示してきます。
査定価格の提示を受けたら、その価格の根拠をしっかりと聞くことが重要です。
特に高い査定価格を提示してきた会社に対しては、「なぜこの高い価格で売れるのか」という理由を聞くことがポイントとなります。
例えば「現在、これくらいの金額の物件を探している中国人投資家がいます」とか、「相続対策でこれくらいの金額の物件を探している方がいます」等の理由は高く売れる明確な根拠です。
このように高く売れる明確な理由がある場合には、高い価格でも十分に売れる可能性があります。
一方で、「今は市況が強くなっていますので…」のような一般論的な回答だと根拠はあやふやであるといえます。
根拠があやふやであれば、当然、その会社に依頼しても高く売れるかどうかはわかりません。
査定価格の説明が理路整然としており、納得感があればその不動産会社を選ぶことをオススメします。
⑤高く売るためのアドバイスをしてくれる会社を選ぶ
高く売るためのアドバイスをしてくれる会社を選ぶこともポイントです。
せっかく売却するのであれば、親切に助言してくれる不動産会社に依頼した方が高く売ることができます。
高く売るためのアドバイスとしては、例えば以下のようなものがあります。
- 時間的余裕があれば、チャレンジ価格で売りに出してみましょう。
- 空室はフリーレントを使ってでも、埋めてから売り出しましょう。
- サブリースは解約してから売りましょう。
フリーレントとは、入居当初数カ月間の賃料を無料とするサービスのこと
積極的にアドバイスをくれる不動産会社は、販売実績も豊富で、高く売る自信のある会社が多いです。
よって、良い不動産会社を選ぶには、アドバイスがあるかどうかも重要なポイントとなります。
次に不動産一括査定サイトを使って、投資用不動産を高く売却する方法について見ていきましょう。
4.これから投資用不動産を売却するなら「まずは査定依頼から」
まず、投資用不動産の売却は、不動産会社に査定してもらうところからスタートします。
投資用不動産の主な買主は投資家です。投資家は、通常、収益物件をメインで扱うような投資物件に強い不動産会社で物件を探しています。
逆に言うと、売却の際も、そのような多くの投資家を抱えている不動産会社に頼むのが効率的です。

投資用マンション売却に強い不動産会社に頼むことが重要なポイント
気をつけなければいけないのは、査定額はあくまで、不動産会社がいくらで売れそうなのかを判断した価格です。
不動産会社ごとに、実績や算出方法が異なるので、不動産会社によって査定額がバラバラになってしまうことが一般的です。
投資物件に関しては、賃料収入など収益性も加味しながら査定をするため、なおさら不動産会社の力量で査定額にバラつきが出てきます。
なので、査定は複数の不動産会社に依頼して、比較検討することがとても大切です。
しかし、複数の不動産会社を自分で調べて、1社ずつ何度も査定依頼を進めるのはとても大変です。
そんな時に不動産一括査定サイトの活用を強くオススメします。
不動産一括査定とは、売却を検討している不動産の情報を入力するだけで、複数の不動産会社から不動産の売却価格の査定を出してもらうことができるサービスのこと
売却することは決まっておらず、現在の市場価格を確認してみたいという方でも活用出来るので、定期的にチェックしてみるのも良いでしょう。
便利な不動産一括査定サイトですが、筆者が知っているだけでも30はあります。
多くのサイトが乱立し、どのサイトを使えば良いか素人には分かりづらくなってしまっています。
実績や信頼性、提携不動産会社の質など、総合的に判断すると筆者は下記の3つをオススメします。
都市部での売却なら
都市部以外での売却なら
上記サイトとセットで活用
上記オススメサイトの査定依頼フォームでは、「物件の状態」と「賃料」を問う項目があるので、人に貸している投資用物件の場合は「賃貸中」にチェックの上、現在の賃料を入力しておきましょう。
投資用物件の査定は賃料が大きく関わってきますので、入力しておいた方が正確な査定結果を得ることができます。

「すまいvalue」入力画面
次に不動産会社と結ぶ媒介契約について見ていきましょう。
5.媒介契約の選択方法
不動産会社選びと連動して、媒介契約の選択も重要なポイントとなります。
媒介契約とは、不動産会社に依頼する仲介の契約のこと
媒介契約は、「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
媒介契約の種類の主な特徴は以下の通りです。
特徴 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
---|---|---|---|
他業者への依頼 | 重ねて依頼ができる 明示義務 | 重ねての依頼ができない | 重ねての依頼ができない |
自己発見取引 ※自分で買主を見つけること |
認められる | 認められる | 認められない |
制約に向けての不動産会社の義務 | 努力義務 | 積極的努力義務 | 積極的努力義務 |
不動産会社の業務処理状況の報告義務 | 特になし | 2週間に1回以上の報告 | 1週間に1回以上の報告 |
一般媒介なら複数の不動産会社に同時に依頼することができます。
そのため、一般媒介によってあえて「不動産会社を選ばない」という選択肢もあります。
不動産会社に支払う仲介手数料は、成功報酬であるため売却を決めてくれた1社のみに支払うことになります。
1社だけに依頼しても、複数の不動産会社に依頼しても売主に発生する仲介手数料の負担額は同じです。
そのため、一般媒介を選択しても売主に特段のデメリットはありません。
むしろ、高く早く売れるチャンスが広がることから、売主にとっては一般媒介の方がメリットは多いです。
一方で、他の収益物件に買い替える場合には、専任媒介または専属専任媒介を選択するという考え方もあります。
専任媒介または専属専任媒介とは1社だけにしか売却を依頼できない媒介契約です。
購入したい物件が先にあり、その希望物件を扱っている不動産会社に売却も依頼すると、売却と購入のタイミングを上手く調整してくれます。
よって、媒介契約に迷った場合、単純売却なら一般媒介、買い替えなら専任媒介または専属専任媒介という選択するという考え方があります。
もちろん、絶対的な正解ではありませんので、良い不動産会社を選べばどんな媒介契約であっても売却は成功します。
不動産会社選びに迷った場合には、一つの参考にしてみてください。
まとめ
投資用不動産売却の不動産会社の選び方について解説してきました。
投資用不動産市場は、「全国にいる投資家」「外国人投資家」「相続対策が目的の人」が買主の対象となるという特徴があります。
不動産会社を効率的に探すには、不動産一括査定サイトの利用がオススメです。
不動産一括査定サイトについては、以下の記事で詳しく解説しています。
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